リチウムイオンバッテリーの充電器3号機               vega  2005.11.27
 

  直列での充電は、各電池の放電バランスが異なるとすべての電池をフル充電できない為、1セル毎に充電器を製作する
  ことにしました。 1号機は解体処分。
  今度は、専用IC(LTC4054)の入手ができたのでこれを使用しました。最大800mAで充電ができます。
   LTC4054データシート(英語)

   LTC4057は、LTC4054ととてもよく似ていて日本語のデータシートがあるので参考になります。
   LTC4057データシート
   
  参考サイトは獣医さんのです。http://www.cac-japan.com/electronics/libt_chg/index.htm
  作り方は、獣医さんと同じ方法(生基板をアクリルカッターでガリガリ)です。
  IC以外の部品は表面実装部品ではなく通常の部品を使用しました。

  私のはこんな値にしました。充電電流は、370mA。 

   

   回路説明
     1. 充電電流は、R1で決まり上記では
        1000/2.7k = 370 mA となります。
        2KΩが入手できたら、交換して500mAにする予定です。
        2kΩに交換しました。充電時間が短くなりました。ICの発熱も問題ありません。(2006.2)
     
     2. C1は、データシートによると積層セラミックでは共振により異常動作する場合
        があるということなので、しかたなくケミコンを使用してます。

     3. VCCは、5V 2A (秋月の小型SW電源)を使用してます。

     4. R3はICの発熱を抑える為のです。 セメント抵抗を使用。
        抵抗値の決め方は、最大充電電流での電圧降下によりなるべく電圧が低くなるようにします。
        (ただし4.3V以上)  必要ワット数は要計算。
        

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    製作

   1.上記(獣医さん)のサイトをまねています。
     レーザープリンタがあれば、この方法にしたいのですが......。
     ガラスエポキシの生基板 9cmx3cm に 上記回路を3セット実装しました。
     3本同時に充電できます。
     LTC4054の部分のパターンは、ルーペで見ながら慎重に削りました。
     その他の部分はかなりいいかげんです。
     放熱を考えて少し大きめにしましたが、370mAではほとんど発熱しないので
     もっと小さくても良かったと思います。
   
     1個目のパターン作成は、時間がかかりましたが、2個目、3個目は10分程度
     で製作できました。  トレーシング紙の裏を濃い鉛筆でなぞり、生基板の上に置いてから
     表をなぞると、銅箔上に薄くパターンが転写されますのでこれを頼りに、溝を掘りました。

     パターンはこんな感じです(横2.5cmX縦3.0cm)。相対サイズ及びとスケールは、全くデタラメですから
     これで、感光基板の元にはしないでください。@、A...はICのピン番号
     基板の見る向きは、上記獣医さんの写真と同じ方向
        


基板上の部品の配置は
A−B :LED
B−@ :R2
D−A :R1
A−C :C1
C −C :R3
A−C :ジャンパー線
  
赤線が、ICの位置  


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    チェック方法

      安全な?テスト方法を紹介します。  最初は、充電電流を少なくして確認します。
  
    1. 基板は、銅箔の削りかすが残っていないか十分チェックし、
       テスターで絶縁を確認します。

    2. 部品を実装します。 ICを実装するパターンは、半田メッキします。
      (一旦半田を流したあとフラックスを塗り、吸収線で吸い取る)
      LTC4054の実装は慎重に。 パターンのブリッジ等はテスターで確認します。
      LEDの極性も確認しておきます。    
 
    3. R1は、10KΩを直列(合計20kΩ)にします。
       テスト時は、充電電流(最大50mA)
       充電電流 = 1000/20K = 50mA

    4. 十分チェック(目視とテスターで)した後に電源をつなげます。
       このときバッテリーはまだ接続しません。
       LEDが光るはずです、光らない場合は即電源OFF!
   
       正常な場合の各ピンの電圧 (バッテリーは接続しない状態)
         No.3 : 3.8V 程度
         No.5  : 0V

    5. R3の両端にテスター(電圧計)を接続します。
       リチウムイオンバッテリーを接続します。
       (フル充電したのはダメ。 又電圧は2.9V以下の電池もこのテストではダメ)
       LEDを見ながら、電源を供給します。
       LEDは、点灯します。点灯しない場合は即電源OFF!
       1Ωの電圧降下は、50mV程度(50mA)になるはずです。
       5番ピンは、1.0Vになります。
       R1の10KΩ直列を1個分ショートしてR3の電流変化を見ます。
       およそ倍程度のなるはずです。

       このとうりなれば、回路はたぶん正常です。

    6. R1の値を減らして、充電電流を増やして見ましょう。
       5ピンは最初1.0V(この状態は、定電流充電)ですが、バッテリー電圧が4.2に到達した後
       充電電流は少しずつ減り(定電圧充電)、0.1Vを下回ったあたりで、LEDが消燈し充電が完了
       します。

    注意
      フル充電したバッテリーを接続した場合は、LEDは点灯せず充電が開始されません。
      電池電圧が2.9V以下の場合は、最大充電電流の1/10の充電電流となり、電圧が2.9V
      を超えてから、定電流充電が開始されます。

      電池の放電が少ない場合(充電の最大電流で4.2Vを超える場合)は、最初から定電圧充電になり
      ます。このとき5番ピンは、1.0V以下になります。

      電池の放電が少ない場合、バッテリーを電源を入れた状態で接続するとLEDが点灯せず充電が開始されない場合が
      あります。 バッテリーを接続してから、電源を入れると充電が開始されます。
      またこの方がソフトスタート機能(起動時の過渡電流も抑えられる)が有効に働くと思います。

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   発熱
     獣医さん紹介の方法はICからの熱が、銅箔から放熱されますので良い方法と思います。   
     GNDピン(2番ピン)が一番熱くなるので、GUNのパターンを広くして放熱を考慮しました。
     試作品では、ウレタン被覆線(0.2mm)で配線しましたが熱の逃げ場がない為、300mA
     程度の充電電流でも結構熱くなりました。
     

   充電電流のモニター
    充電電流がどんな状態なのか、上記回路では全くわかりません。又バッテリーを接続してなくても
    LEDが光りますから。
    5番ピンの電圧に応じて、LEDの点灯個数を変化させれば....とも思っていますがめんどくさい。